日本コーチング学会 会長 挨拶

⻘⼭ 清英(⽇本⼤学⽂理学部教授)

 

 この度日本コーチング学会第37回大会を2026年3月5日(木)・6日(金)の2日間にわたり、日本大学文理学部でスポーツ科学部との共催で開催いたします。全国の会員の皆様のご参加を心より歓迎いたします。
日本大学文理学部での開催は、1993年の第4回大会、2016年の第27回大会以来、3回目となります。前回の大会では、大会テーマを「トレーニング・ピリオダイゼーションと実践知」とし、ウクライナのプラトーノフ教授を招聘し開催しました。日本コーチング学会は、1993年以来四半世紀をかけてコーチング学の体系化を進めてまいりました。それが結実したのが、2017年に発刊した『コーチング学への招待』です。日本大学文理学部での開催は、この前年にあたります。この大会では、日本のコーチング学の源流である欧州のトレーニング学のなかの中核理論であるトレーニング・ピリオダイゼーションを取り上げました。そして、日本コーチング学会における「コーチング学の体系化」に際しては、「実践から帰納的に取り出された実践知を集約する」という目標を掲げることになりますが、この大会ではそのふたつを取り上げていました。
 今回の第37回大会は、これまでの日本コーチング学会の学体系の構築作業をふまえて、「新しい学術の動向とコーチング学」を大会テーマに掲げました。2003年に日本学術会議より発表された『新しい学術の体系-社会のための学術と文理の融合』にみられるように、今日、学術には社会が直面する多様で複雑な課題に対応するために、分野横断・融合的な学術のあり方を問い直すことが要請されています。今回の大会では、このような学術の動向に呼応するかたちで前述のテーマを掲げました。そこで日本の学術動向をふまえた基調講演、シンポジウムと共に、第27回大会に引き続きウクライナからマリア・ブラートバ教授を招聘し、トレーニング・ピリオダイゼーション理論が発展して形成された「アスリートの準備システム理論の歴史的展開」をご講演いただきます。これによって会員の皆様と共にコーチング学の学的特性を確認していきたいと思います。
 今年は一般理論の『コーチング学への招待』、類型別理論の『球技のコーチング学』に引き続き『評定スポーツのコーチング学』が刊行されました。そして、この大会時には『測定スポーツのコーチング学』が発刊されることになっております。これで日本コーチング学会が長きにわたって取り組んできた「コーチング学の体系化」が一区切りとなります。しかし、学問の発展には、自らを見つめ直し続ける不断の努力が必要です。本大会がコーチング学の新たな発展の機会となることを期待しています。
最後になりましたが、学会大会の開催にあたって協賛をいただきました諸機関ならびに企業の皆様には、この場をお借りして改めて御礼を申し上げます。


大会実行委員長挨拶

第37回学会大会 実行委員長
野口 智博(日本大学文理学部体育学科)

 この度、第37回日本コーチング学会大会(兼 第19回日本体育・スポーツ・健康学会体育方法専門領域研究会)を日本大学文理学部にて開催できますことを、大変光栄に存じますとともに、関係各位の多大なるご尽力に心より感謝申し上げます。
 本学における日本コーチング学会大会の開催は、2016年の第27回大会以来、実に10年ぶりとなります。当時は2020年東京オリンピックを目前に控え、オリンピックまでの4年サイクルをいかに戦うかをテーマに、多彩な企画や研究発表が行われ、数多くの口頭発表・ポスター発表により盛会となったことを、改めて御礼申し上げます。
 あれから10年の時を経る中で、私たちは「コロナ禍」「戦争」、そして国内外で頻発する「自然災害」など、想定を超える事態に直面し、オリンピックサイクルやスポーツ活動の在り方そのものが大きく揺さぶられてきました。国内においても、体育・スポーツの意義や価値をめぐる論議がかつてないほど活発になっています。
 このような状況を踏まえ、本大会では「新しい学術の動向とコーチング学」を大会テーマに掲げました。青山清英会長自らが中心となり、企画委員の先生方と議論を重ね、私たち一人ひとりが未来に向けてスポーツの価値を創造し、ゲームチェンジャーとなるべく議論を深める場を設けております。
 基調講演では「総合知とコーチング学」と題して、青山清英会長よりご講演いただきます。また、シンポジウムでは新しい学術の動向を踏まえ、今後のコーチング学が進むべき方向性について議論いたします。さらに、海外招聘特別講演として、ウクライナよりDr。 Oleksandr Pyzhov氏、Prof。 Dr。 Mariia Bulatova氏をお招きし、それぞれ「ウクライナにおけるスポーツの現状とこれから(仮)」、「History and Modernity of Sports Science and the System of Athletes Preparation(仮)」をテーマにご講演いただきます。 
 加えて、一般研究発表・実践研究発表を通じて、多様な視点からの研究成果の共有と活発な論議が展開されることを期待しております。本大会が、体育・スポーツ・コーチングの未来を照らす新たな一歩となることを、心より願っております。

 最後になりますが、本大会の開催にあたり多大なるご協力を賜りました関係各位、ご多忙の中で登壇・発表いただきますパネリスト、コーディネーター、演者の皆様に深く感謝申し上げますとともに、多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

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